「夕やけこやけ」の解説と演奏のヒント

小学校第2学年歌唱共通教材「夕やけこやけ」について解説していきます。

後半では、ピアノ伴奏をする際のコツや指導する際のポイントについてもお伝えしていきます。

夕やけこやけ(上級者向け)

もくじ

歌詞について

1番と2番から成っています。

※著作権の関係で掲載は控えています。

1番と2番の違い

歌詞は大変わかりやすく、そのままの意味でとらえることができます。

さて、1番と2番の違いは何でしょうか?

登場する情景を見てみると、1番は夕焼け、2番はお月様の出る夜、ということで、時間が経過していますね。

1番の時点では、まだ街が動いていますが、2番になると静かな雰囲気です。

演奏するときには、強弱も1番と2番とで変えてみると曲の雰囲気をイメージしやすくなりますね。

誰が歌っている?

1番と2番の歌詞は、それぞれ誰が歌っているのでしょうか。

1番の概要

1.夕焼けとなって日が暮れると

  山にあるお寺の鐘が鳴る。

  おててをつないでみんなで帰りましょう。

  帰っていくからすと一緒に帰りましょう。

”おてて”とありますので、帰るのは子どもですね。

歌っているのは、そのまま子ども、と考えることもできます。

また、山に帰っていくからすを見た大人が ”からすさんも帰っているからいっしょに帰ろうね”と声をかけている、とも考えられます。

または、帰っているからす自身が子どもたちに “一緒に帰ろうカー”と言っている、と考えることも可能ですね。

2番の概要

2.子どもたちが帰ったあとには

  丸くて大きなお月様がうかびあがる。

  小鳥たちが夢を見るころには

  空にはきらきらと金の星がかがやいている。

2番は、星が出るころなので、子どもたちは夢の中です。

歌っている主ではないですね。

子どもたちが寝たあと、静かになった夜に大人が歌っている、とも考えられますし、

1番のからすに対して1番の小鳥が歌っている、とも考えられますね。

誰が歌っているのかを考えるだけでも情景をイメージするきっかけになります。

また、1番と2番の絵を描いてみるのも面白いです。

描いた絵だけでなく、使った色で曲のイメージもわきやすくなります。

ヨナ抜き音階

夕やけこやけ

「夕やけこやけ」に使われている音は、よく見ると「ドレミソラド」の音階です。

これを「ヨナ抜き音階」と言います。

明治期におこなわれた階名唱ヒフミヨイムナヒの第4度ヨ、第7度ナ(ファ、シに相当)と外した音階。現行の階名ではドレミソラドとなる。

新編音楽中辞典 より

この音階はどこか懐かしい響きを感じさせ、演歌や童謡にもよく使われています。

ミファ、シドなどの半音がないのも歌いやすい特徴です。

ヨナ抜き音階は、黒鍵だけを使って演奏することも可能なので、木琴を使って演奏してみるのも面白いですね。

1~7の鍵盤のみで夕やけこやけが演奏できます。

最初の音は4番の鍵盤から始めると、黒鍵部分のみで演奏することが可能です。

演奏のヒント

この曲を演奏する時に押さえておくべきポイントをご紹介していきます。

前述の情景を思い浮かべるだけでも「夕やけこやけ」の雰囲気が出来上がりますが、更なるポイントを追加してみます。

お寺の鐘

ピアノ伴奏の前奏にはこんな音が書いてあるものもあります。

夕やけこやけ 前奏

最初の低いドの音に「con 8va」と書かれています。

con=with、8va=オクターブ。

つまり、オクターブ下の音と一緒に弾きましょう、ということです。

実際の音を楽譜で表すとこんな感じ。

かなり低い音ですが、鍵盤をそっとおろして弾いてみると、お腹に響くようなボ~~~ンという音が鳴ります。

これは、鐘を鳴らしている音を表しています。

今では大晦日でも騒音問題などで鳴らさないところもあるようですが、時計のなかったころは鐘の数で時間を知らせていました。

ここでは、夕方の時間を知らせる鐘が鳴っていると考えられます。

リズムに注目

夕やけこやけ

リズムのほとんどが8分音符、段の最後は付点4分音符と8分休符で構成されています。

では、そうでないリズムはどこでしょうか?

まずは5小節目ですね。

5~6小節目

ここだけ4分音符です。

言葉の音の数に合わせて8分音符が一つ減ったとも考えられますが、せっかく4分音符がありますので何らかの音楽性を表現したいところです。

仮に他の8分音符と同じにしてみますね。

全てが同じ8分音符になることで単調さが目立ってしまいます。

そして、盛り上がる感じにも欠けてしまいますね。

長く伸ばす、ということはそれだけエネルギーをためることができます。

ためたエネルギーを、上昇して盛り上がる次の小節に向けて使っていくといい感じにふくらんでいきます。

エネルギーをうまく利用すると自然にふくらむ

もう1か所、リズムの違うところがあります。

9~10小節目

9小節目のタッカのリズムですね。

ここは最高音のレの音も使われており、強弱記号もfなので一番の盛り上がり部分だとわかりますが、このタッカのリズムでより高揚させることが可能になります。

例えば、これが8分音符のままだとこのような感じになります。

実際に歌ってみると、盛り上がりにあと一息!という感じがしませんか?

これも、タッカのリズムにすることで付点の分だけ長くのばすため、エネルギーをためることができるようになりますね。

リズムをうまく使って表現力アップにつなげていきましょう!

ブレスの方法

歌う速さによっても変わってきますが、この歌はどこで息継ぎをしますか?

少し速めに歌うと、1段ごとにブレスをしていると思います。

ただ、少しゆっくり歌ったり、初めから息をいっぱい使ってしまったりした場合は、ブレス記号のところでも息を確保したくなりますね。

1~4小節目

この楽譜では( )でブレス記号が書いてあるので吸わなくてもかまいませんが、もしブレスをするならしっかり吸って息確保、というわけではなく、ちょっとだけ吸ってあとの2小節を歌えるようにするといいですね。

4小節ひと息で歌うイメージです。

同じドでも違う?

段の最後の小節のドを見てみましょう。

この2か所ですね。

パッと見た感じだと両方ともフレーズが終わるドですが、少し性質が異なります。

ここを理解するだけで演奏の仕方が変わってきます。

まず、2段目最後のドについては5小節目から始まった4分音符でためたエネルギーをそのまま3段目のfに向けて使っていくイメージです。

次に向けて広がる

フレーズが終わっていますが、更にふくらませておくと、次のfの準備も十分にできますね。

さて、最後のドについてですが、こちらは曲の終わりなので収まるように演奏するといいですね。

よく見てみると、14小節目にある真ん中のドから1オクターブ分上がってきて終わるので、意識して収めるようにしないと盛り上がって終わってしまいます。

13~16小節目

真ん中のドから1オクターブ上のドに向けてディミヌエンド(だんだん弱く)していくと演奏しやすくなります。

まとめ

1番と2番で時間の推移が見られる「夕やけこやけ」について見てきました。

色や情景をイメージすることが演奏にもつながっていきそうですね。

また、8分音符がほとんどを占める中、違うリズムに意識を向けることで、表現も変わってきますね。

日が沈むときに太陽を見ていると、あっという間に見えなくなり時間の進む速さを実感します。

その切なさに夕焼けの色が重なり、情感たっぷりで演奏することができるこの曲。

子どもも大人も惹きつける魅力はこのあたりにあるのだと思っています。