「ふるさと」の解説と演奏のヒント

小学校第6学年歌唱共通教材「ふるさと」について解説していきます。

後半では、ピアノ伴奏をする際のコツや指導する際のポイントについてもお伝えしていきます。

ふるさと(簡易伴奏)
ふるさと(上級者向け)

もくじ

歌詞

1、2、3番から成っています。

1.うさぎ追いし かの山

  小ぶなつりし かの川

  夢は今も めぐりて

  わすれがたき ふるさと

2.いかにいます 父母

  つつがなしや 友がき

  雨に風に つけても

  思いいずる ふるさと

3.志を はたして

  いつの日にか 帰らん

  山は青き ふるさと   

  水は清き ふるさと

歌詞の意味

1.うさぎを追いかけたあの山。

  小鮒を釣ったあの川。

  その時の思い出は今も私の中に巡っており、

  忘れることができないふるさとである。

2.お父さん、お母さんはどうしていらっしゃるだろうか。

  友達は元気でいるだろうか。

  雨が降っても風が吹いても

  思い出すふるさとである。

3.成功を収めて

  いつの日か帰ろう。

  山は青いふるさとへ。

  水がきれいなふるさとへ。

小さい頃の思い出として、ウサギを追いかけたことのある人はかなり少なくなったのではないでしょうか。

フナを釣ったことがある人はもう少し多い気もします。

いずれにしても、野原や山・川を駆け回っていた子供時代があることは人生の上でも貴重な時間を過ごしていると感じます。

長い人生で子供時代はわずかな時間です。

そのころの思い出が自然というのは、その後の人生でとてもキラキラ輝いたものになるのではないでしょうか。

2番の歌詞は、何かがあるたびに故郷を思い出していますね。

故郷に限らず、何かがあれば誰か・何かを思い出すことは人生を豊かにする事柄です。

また、現代では父親や母親は大切な人であることが多いと思いますが、昔はどちらかといえば尊敬する存在でした。

そして、メールや各家庭の電話もなかったため、誰かと連絡を取るのは手紙でした。

私の母の家に固定電話がついたのが今から50年くらい前です。

それまではリアルタイムで誰かの様子を知ることは不可能でした。

私自身、今なら連絡すれば様子を知ることができるので、相手の様子がどうか思いめぐらせることも少なくなった気がします。

連絡が取れないからこそ思いめぐらせるのは、実は相手のことを深く考えることにつながるのではないでしょうか。

3番の歌詞では、「地方から都会へ出てきて成功を収めて故郷に帰る」というモデルプランのような状況です。

実際に、作詞をした高野辰之も長野県で生まれ、22歳で上京し、東京音楽学校や東京帝大で教授となり、また長野に戻っています。

このように成功をして帰るべきところが故郷であり、また成功できなくても帰りたいと思うところが故郷なのでしょう。

「山は“青い”」と言っていますが、昔は“緑色”という言葉がなかったため、“青々とした葉っぱ”のように実際は美しい緑色だっと考えられます。

山が美しい緑色、そして水もきれい、というのはもしかしたら美化されているかもしれません。

それだけ故郷への愛情と思いが強いことの表れだと考えられます。

作詞作曲

作詞:高野辰之

作曲:岡野貞一

この二人のコンピは、小学校の歌唱共通教材曲にたくさん登場します。

第2学年:春がきた

第3学年:春の小川

第4学年:もみじ

第6学年:おぼろ月夜、ふるさと

どの曲ものどかで美しい情景が目の前に浮かぶ名曲ですね。

演奏のヒント

この曲を演奏する時に押さえておくべきポイントをご紹介していきます。

どの世代も歌える「ふるさと」は、気持ちを乗せて歌いやすく、なめらかに演奏することも理解しやすい曲ですね。

曲の構造もふまえた演奏のヒントを解説していきます。

リズム

ふるさと

この曲は上の楽譜で1段ずつ、4つに分かれていて、構造としては「 a , a’ , b , a” 」となります。

1,2,4段目は同じリズムです。

何度も同じリズムが出てくることで、歌いやすくなりますし、より愛着がわいて何度も口にしたくなりますね。

次に、前半と後半に分けて見ていきます。

1~2段目のつながり

これが前半部分です。

1~2段目

強弱記号は<>となっていますし、音の高さも⇗⇘と上下してふくらみを感じられるようになっています。

1番の歌詞の意味を考えると、「あの山でうさぎを追いかけた。そして!あの川では小ぶなも釣ったんだ!」と思い出がどんどんあふれてくる様子を表すことができますね。

ちょっと意識するだけでも、この2段がひとまとまりとして歌いやすくなりますね。

盛り上がりがいつもと違う?

次に、後半部分です。

3~4段目

曲の構造「 a , a’ , b , a” 」 の b は他のリズムと異なるため、普通ならここが盛り上がり!となりそうです。

ただし、この曲の場合は b の部分はpと書かれており、歌ってみても盛り上がる感じはないですね。

代わりに最後の段の a” の部分が盛り上がりになります。

一番言いたいのは「忘れられないふるさと」です。

b の部分は弱弱しいpではなく、”たくさんの思い出が今も自分の中にめぐっている”と心の底にしまっているように大切に演奏し、その思いを最後の段にぶつけるとうまく盛り上がりに持っていけますね。

ブレス

さて、この曲のブレスですが、一応は2小節ごとに吸えるようになっています。

ブレス記号”V”はありますが、前後の言葉がつながっているので、少しだけ吸うようにとどめておきたいですね。

特に最後の(V)は楽譜によっては書いていないものもあります。

一番言いたい部分なので、できれば一息で歌いたいところです。

まとめ

心のよりどころへの思いを強く抱く「ふるさと」について見てきました。

同じリズムを何度も使うことで愛着がわきやすく、いつもと違うリズムの部分を大切に歌うことでその後の盛り上がりが感動を誘う作りになっていました。

現代では故郷が都会、ということも珍しくなくなってきましたが、生まれ育ったところを思う気持ちというのは共通する思いがあるのだと思います。

この曲を学習するのは6年生、つまり11~12歳。

故郷を思いやる気持ちを実際に理解するのはなかなか難しいかもしれませんが、大きくなった時に「あぁ、こういう気持ちなんだな」と実感できると、またこの曲に愛着がわきそうですね。