ずっとソロの曲を練習していて、初めて合唱などの伴奏をすると、「なにかがおかしい」と感じるけれども、なにがおかしいのかがよくわからない、ということがおこりやすいです。
- 合唱とタイミングが合わない
- 合唱とのバランスのとり方がわからない
- みんなが歌いにくそう
教えている生徒さんが「学校の合唱で伴奏の担当になった!」とレッスンに持ってくることがありますが、伴奏の弾き方がわからずに苦戦することが多いです。
ソロと伴奏とは何が違うのでしょうか?
何に気を付けるといいのでしょうか?
今回の方法を身につけると、こんな効果が得られます。
- 歌が歌いやすいと言ってくれるようになる
- 音量のバランスが取れた演奏ができる
- 合唱との一体感が得られる
もくじ
右手を控え目に弾く
ソロで弾いていた時は、ほとんどの場合、右手が旋律を弾きます。
レッスンでも、「しっかり右手を出して!」と言われたことがある人も多いと思います。
でも、伴奏の時の右手のパートは和音を刻んでいたり、和音の音をポロンポロンと弾いていることが多いです。
そのため、目立ってしまうととてもうるさく感じてしまいます。
それを考えずにソロの時と同じように弾いていると、右手がかなり目立ちます。
合唱の場合だと、右手の弾いている高さは歌と同じくらいの高さが多いので、歌を邪魔してしまいます。
合唱のメインは歌なので、ほとんどの旋律を歌が演奏します。
聞こえてほしい順番は
歌 → ピアノの左手のバス音 → ピアノバス音以外の音
となります。
右手を控え目に弾くだけで、合唱パートがよく聞こえてくることが多いので、歌とピアノを合わせた全体的なバランスも捉えやすくなります。
右手は控え目に弾きますが、どうでもいいパートというわけではないので、大切に弾きたいところです。
私はいつも、全体を絵画に例えて考えています。
絵を描いている輪郭が歌、キャンバス自体が左手、中を塗っている色が右手です。
右手は色付けするように弾きます。
柔らかい音?
暗い音?
はきはきした音?
こういった色付けができるのは伴奏の右手が得意なところです。
色付け担当が楽しめるようになると、伴奏も楽しくなってきます!
また、たまに右手で重要な旋律を弾く時があるので、その時にはここぞとばかりにキラリと響かせて音量も大きくすると、メリハリのついた伴奏ができます。
一緒に息を吸う
ほとんどの楽器は、音を出すためにそれなりの準備が必要です。
歌で考えてみると、まず身体の重心を下の方に持ってくるように意識し、喉の奥を開き、お腹を使って息を吸い、イメージをしてから出す。
一方で、ピアノはネコが歩いても鳴るくらい簡単に音が鳴ります。
そこにタイムラグが生じやすいです。
もちろん、ピアノで音を出す時も重心の位置・腕の脱力・イメージなどは必要ですが、鍵盤を押さえれば音が出るので、ぱっと弾いてしまいがちです。
そこで、ピアノを弾いていても歌うつもりで息を一緒に吸ってみると劇的にタイミングが変わります。
息を吸うと、歌うための準備の時間がわずかにかかるため、歌と同じタイミングで入りやすくなります。
慣れないうちは、拍通りにきっちり入らない感じがなんとなく気持ち悪く感じたりするかもしれませんが、歌はとても歌いやすくなります。
歌の人からは、
「歌のパートをよく聞いてくれている」
「息が吸いやすい」
といった感想をもらえるようになります。
そして、伴奏と歌が合ったときには一体感が生まれ、“みんなで一緒に音楽を作っている!”という実感がわきます。
楽譜にはこんな書き込みをしています。(曲は架空のものです。)
V印のところで一緒にブレスをすれば必ず合います!
また、こんな書き込みもしています。(曲は架空のものです。)
ここで合わせるんだよ、という印です。
16分音符の途中で歌が入ってくるなんて、反則!くらいの勢いですが、歌が息を吸うところで一緒に吸うことで、16分音符の途中でも歌と合いやすくなります。
16分音符を弾きながら途中でブレスをして、リズムが止まったり不自然にならないようにする、という練習をおススメします。
この練習をした後に歌と合わせると、歌はブレスもしやすく伴奏と合いやすくなるため、合唱との一体感が生まれます。
伴奏の場合は、こういうところを重点的に練習するといいですね!
歌声を聴く
ソロで弾いていると、気づいたらピアノの音しか聞いていない、という状態になりやすいですが、合唱と合わせてみんなで演奏しているので、全体がどうなっているのか、というのは伴奏者は必ず知っておく必要があります。
最初はなかなか難しいですが、歌声を聴くことができるようになると、歌の中に伴奏が溶け込んでいくのを感じたり、みんなで一つの音楽を作っているんだ!という感覚が得られ、伴奏者としての喜びを感じられるようになりますので、少しずつでも耳を傾けるようにしてみてくださいね。
歌のパートがいくつかある場合には、初めのうちは主要なメロディーを歌っているパートだけでも構いません。
慣れてきたら他のパートも聴こえてくるようになりますので、まずは自分以外の音をよく聴くことに集中してみるといいですね。
歌声を聴くことができてきたな、と確認できるポイントです。
- 右手が控え目になる
- 一緒に息を吸うことができるようになる
これは、伴奏のコツと全く同じですね。
右手を控え目に弾くことと、一緒に息を吸うことで歌声を聴くことにつながっていきます!
まとめ
合唱のピアノ伴奏のコツについて3つのポイントを説明しました。
- 右手を控え目に弾く
- 一緒に息を吸う
- 歌声を聴く
この3つはお互いに影響を与え合いますので、一つだけでも意識できると他の2つも徐々にできるようになってきます。
ずっとソロ曲の練習をしているとなかなか気づかないことが多いので、一人での練習の時・合わせ練習の時に意識してみるといいですね!
合唱との一体感が生まれると、ソロにはない伴奏の魅力を存分に感じられるので、とても楽しくなります。
充実した伴奏のひと時を楽しんでいただけたら嬉しいです。